美術家 植松奎二は,鉄や石,ガラスなどを用いた彫刻のほか,映像や写真,インスタレーションなどの制作をとおして,自然や地球,宇宙といった世界の構造と私たちの存在,相互の関係性について表してきました。
そして,霧島や桜島を巡った植松は,火と土と水と空気が様々な姿へと形を変え,膨大なエネルギーの転換が繰り返される様を見て,フランスの哲学者ガストン・バシュラールの『想像力の源泉は物質である』という言葉を強く意識したといいます。
本展は,私たちの持つ常識を覆し,言葉と思考と視覚が一体となった小さな宇宙空間をつくり出すことによって,植松による知覚を超えた発見の場を表出するものとなります。知と未知との境から生み出される作品をとおして,世界との関わりの中に新しい意味を見つけ出そうとする植松の時空を超えた旅を体感するものとなるでしょう。